体外受精とは?適用症例とともに紹介
公開:2024.0515 更新:2024.0515
子どもを授かりたいと望んでいるものの、妊娠できずに悩んでいる方は少なくありません。
不妊治療を行うにあたって、検討したいのが「体外受精」です。
体外受精は、不妊治療のなかでも比較的妊娠率が高い方法として知られています。
そこで本記事では、体外受精の概要をお伝えしたうえで、その成功率や対象となる方の症例を紹介します。
体外受精を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
体外受精とは
体外受精は、妊娠を望む男女が、避妊をしないまま性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない際に行う、不妊治療の一つです。
女性の卵巣から卵子を採取し、男性から提供された精子を用いて体外で受精させ、妊娠しやすいタイミングを見計らって子宮に戻します。
体外受精は、ほかの不妊治療と比べて妊娠する可能性が高いといわれている方法です。
体外受精の成功率
体外受精の成功率は、使用する卵子や精子の質に大きく左右されるため若年層のほうが高く、年齢が上がるにつれて低下します。
また、医療機関の設備や技術力によっても左右されます。
そのため、体外受精を開始する前に、医療機関ごとの治療内容や過去の実績を調べておくことをおすすめします。
年齢別の成功率を以下の表にまとめましたので、体外受精を検討する際の参考にしてください。
メリット | デメリット |
体外受精のメカニズム
前述した通り、体外受精は採取した卵子と精子を体外で受精させ、妊娠しやすいタイミングで子宮に戻し、妊娠を図る治療法です。
ここで大事なのは、受精までの工程を体外で行うということです。
自然妊娠の場合「精子が子宮に入れるか」「卵子と精子が受精できるか」といった、いくつものハードルを越えなければなりません。
しかし、体外受精ならこれらの工程で生じるリスクを回避し、高い可能性で受精を促すことができるのです。ここで、不妊治療の一つである「人工授精」と比較してみましょう。
人工授精は、女性の排卵時期に合わせて、精子を子宮内に注入する方法です。
卵子と精子が受精する確率を高める方法であり、受精から妊娠までの過程は、自然分娩に近いといえます。
一方、体外受精は、採取した卵子と精子をシャーレ内で受精させ、できた受精卵を専用の培養液内で培養してから、子宮内に移植します。
そのため、体外受精は人工授精より受精する確率が高いというわけです。
なお、妊娠の過程のうち、受精までを体外で行うのであって、それ以外の工程は自然妊娠と同じです。
体外受精の対象となる症例
体外受精は一般に、以下のような問題を抱えている場合に適用される不妊治療です。
- 卵管性不妊
- 男性不妊症
- 免疫性不妊
- 原因不明不妊症
この項では、対象となる4つの症例を見ていきましょう。
卵管性不妊
卵管性不妊は、卵管の異常が原因で不妊になっている状態のことです。
卵管が閉塞しているか、損傷していることで、排卵された卵子が子宮に移動できなかったり、卵管に取り込まれにくくなったりします。
この状態は、感染症による炎症や子宮内膜症、あるいは卵管の先天的な異常によって引き起こされる可能性が高いです。
男性不妊症
男性不妊症は、不妊の原因が男性側に存在する場合を指し、主に造精機能障害の一つである「乏精子症」を発症している可能性が考えられます。
乏精子症とは、射精時の精子の総数が、正常範囲を大きく下回る状態のことです。
ストレスや薬による副作用、そのほか喫煙や過度なアルコール摂取といった生活習慣の乱れが原因といわれています。
一般的には、1回の射精で1~3億個もの精子が卵子との受精を目指します。
しかし、乏精子症の場合、その数が極端に少なくなるため受精の確率が下がってしまうのです。
免疫性不妊
免疫性不妊は、体内に精子の運動性や受精能力を損なわせる抗精子抗体ができることで起こる不妊症です。
精子の活動が抑制されることで、卵子と精子の正常な結合が阻害されます。
また、抗体が卵子の膜と結びつくことで、卵子の発育を阻害するケースもあり得ます。
原因不明不妊症
原因不明不妊症は、夫婦が定期的な性交渉を行うも妊娠に至らず、その原因が医学的検査でも特定できない状態を指します。
原因が分からないぶん、不妊症のなかでも特に悩ましく、妊娠を望む方にとって大きな心理的ストレスを感じる要因になりがちです。
体外受精のメリット
体外受精のメリットは、さまざまな不妊治療のなかでも受精しやすく、妊娠の確率が高い点です。
これまでに不妊治療を行ってきたにもかかわらず、結果が得られていない方にとって、試す価値のある方法だといえるでしょう。
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体外受精のデメリット
一方で体外受精は、排卵を促進するために薬剤を使用したり、採卵手術や胚移植を行ったりする必要があるため、女性の体に負担をかけます。
また、女性の年齢が高くなるほど、妊娠率は低下し、流産のリスクも高まります。これらの点を考慮し、治療を受ける前には、十分な情報収集と医師との相談が必要です。
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体外受精を受ける際の準備と注意点
体外受精を行ううえで、心身の健康は欠かせません。
不妊治療の前準備として、健康的な生活習慣を維持するよう心がけましょう。
栄養バランスの良い食事を摂り、定期的に運動を行ったうえで、十分な休息を取るようにしてください。喫煙や飲酒はできるだけ避けたほうがよいでしょう。不安やストレスを感じるようなことがある場合は、医師や専門家、パートナーと相談することをおすすめします。
また、治療が始まると、検査などで病院に行く機会が増えるので、余裕をもってスケジュールを組むようにしてください。
体外受精以外の選択肢
不妊に悩む多くの方にとって、体外受精は一つの選択肢ではありますが、すべての問題を解決できるとは限りません。
体外受精でも妊娠が難しい場合には、「卵子提供」や「代理出産」を検討してみるのも一案です。
代理出産とは、何らかの理由により、ご自身で子どもを授かることができない女性が、第三者の女性に妊娠・出産を委託することです。
なお、日本での代理出産は、法律的に違法ではありませんが、日本産科婦人科学会が、論理的観点において代理出産に否定的であるため、日本国内での代理出産は困難であるのが実情です。
そのため代理出産を希望する場合は、代理出産が合法化されている国に赴いて行う必要があります。
卵子提供は、女性が自らの卵子で妊娠することができない場合に適用される治療法です。
この方法では、卵子ドナーから健康な卵子の提供を受け、その卵子を用いて体外受精を行います。
卵子提供は、早期閉経や卵巣摘出、加齢による卵子の質の低下といった理由で、自身の卵子を使用できない場合に使われる方法です。
卵子提供を受けるにはドナーの選定や法的合意、ドナーは感染症や遺伝病のスクリーニングなどのステップを経る必要があります。
体外受精は希望をもたらす選択肢
本記事では、体外受精のメカニズムや、対象となる症例を紹介しました。
体外受精は、採取した卵子と精子を体外で受精させ、子宮に戻すことで妊娠を図る不妊治療です。
数ある不妊治療のなかでも、妊娠する確率が高い方法として知られています。
子どもを授かりたいと望んでいるにもかかわらず、妊娠できずに悩んでいる方は、体外受精を検討してみてもよいのかもしれません。
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