高齢出産に伴うリスクと対策方法を紹介
公開:2024.05.13 更新:2024.05.13
多様なライフスタイルが認められている現代では、高齢での出産・妊娠を選択する女性も少なくありません。
しかし、「高齢出産にはリスクが伴う」と耳にして、正しい情報を知りたいと考える方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、高齢出産に伴うリスクを その対策方法とともに紹介します。
正しい知識を深めて、高齢出産の計画を立てる参考にしてください。
高齢出産の現状
現代社会では、高齢出産が一般的な選択肢の一つとなりつつあります。
キャリア形成やパートナーとの出会いなど、さまざまな要因から、出産が遅くなる女性は珍しくありません。
しかし、年齢が上がるにつれて、妊娠や出産に関連するリスクは高まります。
母体だけではなく、胎児にも影響があることなので、高齢出産に関する正しい知識を身につけておきましょう。
何歳から高齢出産になる?
一般的に、女性が35歳以上で出産することを、高齢出産といいます。
35歳以上の初産婦、または40歳以上の経産婦が出産することを指す場合もあります。
近年、晩婚化が進んだ影響により、高齢出産は珍しいことではなくなりました。
しかし、年齢とともに妊娠に伴うリスクが高まるため、35歳を超えて出産する際は、正しい準備と理解が必要です。
35歳を境に、妊娠時に合併症を患うリスクが上がるとされていますが、一概にすべての女性が当てはまるわけではありません。
これらのリスクは、個人の健康状態や生活習慣によって左右されるため、それぞれが自身に合った対策を講じることが大切です。
卵子の質とは
近年、平均初婚年齢が上昇し、高齢出産を選ぶ女性の割合が増加傾向にあります。
厚生労働省の発表した令和4年の『人口動態統計月報年計』によると、新生児の約30%が35歳以上の母親から生まれていま す。
これは、社会や個人の価値観の変化、医療技術の進歩など、多様な要因によるものです。
また、年齢を重ねた方の出産が増えたことで、それに伴うリスクへの理解と対策も重要視されるようになってきています。
【関連記事】卵子の寿命はどのくらい?年齢との関係性は?
高齢出産のメリット
人によっては、高齢出産を選んだことによって、メリットを得られる場合があります。
ここでは、高齢出産の3つのメリットを紹介します。
キャリアを築いてから出産に臨める
働き方によっては、キャリアを築いてから出産に臨める場合があります。
長年の仕事経験は、女性にとって大きな自信となります。
高齢出産を選択する女性のなかには、プロフェッショナルとしての実績を積み、業界内で確固たる地位を築いている方もいるでしょう。
妊娠前にキャリアを築いていれば、出産後の職場復帰をスムーズにし、仕事と育児のバランスがとりやすくなります。
また、キャリアを通じて培ったコミュニケーション能力や問題解決スキルは、育児においても大いに役立つはずです。
精神的なゆとりをもてる
高齢出産を選ぶ女性は、豊富な人生経験によって、精神的に安定していることがあります。
過去の経験からくる寛容さや、さまざまな事態に対処できる柔軟性は、出産後に待ち受ける育児の日々を、穏やかに乗り切るために役立つはずです。
また、精神的なゆとりをもっていれば、周囲の支援を適切に求めることができ、ご自身のストレスをコントロールできることにもつながります。
経済的に余裕がある
年齢を重ねた女性は、若年層と比べて多くの場合で経済的に安定している確率が高いでしょう。
金銭面で不自由しなければ、子どもの成長に伴い発生する、諸々の費用をカバーできるという安心感が得られます。
具体的には、質の高い育児用品の購入や教育への支出など、生まれてきた子どもに対して多くの投資が可能です。
高齢出産に伴うリスク
繰り返しになりますが、高齢出産は、体力や生理機能の変化に伴い、妊娠中や出産時のさまざまなリスクが高まります。
ここからは、高齢出産に伴うリスクとして代表的なものを見ていきましょう。
妊娠合併症を発症しやすくなる
高齢で妊娠した女性は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、特有の疾患にかかりやすくなります。
これらの妊娠合併症 は、母体だけでなく胎児にも悪影響を及ぼす可能性があるため、十分な注意が必要です。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降に高血圧を発症することです。
高血圧のほかに蛋白尿も認められる場合は、妊娠高血圧腎症とよばれます。
35歳以上で妊娠した女性の発症率が高く、母体や胎児に対して、深刻なリスクをもたらします。
妊娠高血圧症候群が進行すると、母体に重度の頭痛や視覚障害、上腹部の激痛、重度の浮腫などが見られるようになり、さらなる合併症を招きかねません。
さらに、これらの症状が継続すると、胎児の成長遅滞や胎盤早期剥離、胎児窒息など、胎児に対しても悪影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要です。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠して初めて発見された糖代謝の異常のことです。
妊娠中のホルモン変化が原因で、インスリンの効果が低下することで発症します。
妊娠糖尿病が母体に与える影響としては、妊娠高血圧症候群の発症リスクの増加、分娩時の合併症、および将来的に2型糖尿病になる確率が高くなることなどが挙げられます。
また、胎児に対するリスクも甚大です。
母体が妊娠糖尿病に罹患していると、胎児は過剰なブドウ糖を受け取り、過大な体重(巨大児)で生まれやすくなります。
これは、出産時に肩が産道に引っかかる肩甲難産のリスクや、新生児の低血糖・黄疸・呼吸困難などの問題が発生する可能性も高めます。
難産・流産・死産の可能性が高まる
高齢出産を選択した女性は、若年層と比較して、難産や流産、死産のリスクが顕著に増加します。
加齢により産道や子宮口の柔軟性が低下することで、胎児が通過しにくくなります。
これが原因で出産にかかる時間が長引けば、母体への影響が大きくなり、難産となる可能性が高まってしまうのです。
妊婦の死亡リスクも高まる
高齢での出産は、妊婦自身の健康リスクにも大きく影響します。
特に、高血圧や糖尿病などの基礎疾患を抱えている女性は、妊娠中や出産時に合併症を患ってしまうリスクが低くありません。
高血圧症や糖尿病は、妊娠中毒症や早産、胎児の発育不全の原因となり、妊娠中の心臓病や脳卒中など、命にかかわる疾患が発生する確率も上昇させます。
また、出産時の出血量が多かったり、回復が遅かったりと、産後に悪影響を及ぼすこともあります。
産後のトラブルが発生しやすい
高齢出産を経験した女性は、若年層に比べて出産後の体の回復が遅い傾向があります。
出産後の子宮収縮が通常通り進まない「子宮復古不全」は、高齢出産の女性によく見られる症状です。
子宮がもとの大きさに戻らないことで、出血が長く続き、感染症にかかりやすくなります。
また、「産後うつ」も出産後に患う可能性のある病気です。
ホルモンの急激な変動や睡眠不足、育児へのプレッシャーなど、多くの要因が組み合わさることで発症し、体力と精神力の両方に影響を及ぼします。
子どもに先天異常が現れやすくなる
高齢出産の場合、胎児が先天異常をもつリスクも高まります。
なぜなら、女性の年齢が上がるにつれて、卵子の質が低下し、遺伝子異常が発生しやすいからです。
ダウン症候群は、21番染色体の異常によって起こり、知的障害や心臓疾患など、多様な健康上の問題を引き起こします。
加えて、年齢が上がるにつれてエドワーズ症候群やパトー症候群など、ほかの染色体異常疾患のリスクも高まります。
高齢出産のリスクを減らすための対策
高齢出産が不安な女性に向けて、リスクを最小限に抑えるための対策を紹介します。
適切な知識と準備をもって、安心できる妊娠と出産を目指しましょう。
葉酸を多く摂取する
葉酸を多く摂取することは、妊娠初期の女性にとって大切なポイントです。
葉酸は、胎児の脳や脊髄などの神経系の発達に不可欠なビタミンで、これが妊娠初期に不足していると、神経管閉鎖障害のリスクが高まるとされています。
そのため、これから妊娠する可能性がある場合は、妊娠の計画段階から、サプリメントによる葉酸の補給をおすすめします。
葉酸は自然の食品にも含まれていますが、日々の食事だけでは必要量を摂取することが難しいため、サプリメントで補う方法が一般的です。
葉酸を豊富に含む食品には、緑黄色野菜や豆類、全粒穀物、果物などがあります。
しっかりと食事計画を立て、これらの食品を積極的に摂取するとともに、サプリメントも活用しましょう。
【関連記事】葉酸とは?卵子や妊娠・出産に与える役割を紹介
塩分を摂り過ぎない
女性が高血圧になると、妊娠中毒症や妊娠高血圧症候群の原因となり、母体や胎児に悪影響を及ぼします。
そのため、妊娠を望む女性や妊娠中の女性は特に、塩分の過剰摂取を避けて、摂取量を意識的にコントロールすることが大切です。
日常の食生活では、塩分が高い食品や加工食品の摂取を控え、調味料を使用する際も量に注意してください。
代わりに、ハーブやスパイスを使って、食材の自然な風味を引き出す調理法を取り入れることで、塩分を抑制できます。
また、食事の際は、食品のラベルに記載されているナトリウム量をチェックすることも効果的です。
日々の食生活の中で意識的に塩分摂取を減らすことで、高血圧のリスクを低減し、健康的な妊娠期間を過ごしましょう。
適度に運動して適正体重を維持する
高齢での妊娠には、体力が必要です。
妊娠前から、体に過度な負担をかけずにできる運動に取り組み、心身ともに健康な状態を保ちましょう。
例えば、ウォーキングやスイミングは関節に負担がかかりにくく、心臓や肺の機能を強化できます。
また、妊娠中は体重の増加が避けられませんが、適正な範囲に留めることが、高血圧や妊娠糖尿病などのリスクを減らすことにつながります。
体調を日々チェックしながら、無理のない範囲で定期的に運動を続けることが大切です。
妊婦健診を受ける
高齢出産では、妊娠中のさまざまなリスクが高まるため、妊婦や胎児の健康状態を定期的に確認する「妊婦検診」を受けることが重要です。
妊婦健診では、体重や血圧の測定、尿検査、胎児の成長状態や心音の確認などが行われます。
また、高齢出産の場合は、通常の健診に加えて、特定のテストや追加の超音波検査を実施することもあります。
定期的に受けることで、問題を早期発見し、対応することが可能になります。
妊娠期間中は、医師の指導に従い、推奨される健診を受けましょう。
出生前診断について
高齢出産の際は、出生前診断を通じて胎児の健康状態や発育状況を知ることが大切です。
この診断は、遺伝的な問題や先天性の異常を早期に発見できるため、母親が心の準備をするだけではなく、必要な医療対応を事前に計画する助けにもなります。
ただし、出生前診断の結果によっては、子どもの未来が大きく変わる可能性もあります。
そのため、この診断を受けるかどうかは、十分な情報と理解のもとで決定することが重要です。
パートナーや信頼できる医師との深い対話を通じて、自身の価値観や状況に照らし合わせた判断を下しましょう。
精神的なケアを怠らない
妊娠は、精神的にも大きな変化を伴います。
特に高齢出産ではストレスを感じやすいため、リラクゼーションや趣味の時間、親しい人との会話など、心を安定させる時間を大切にしましょう。
また、不安や悩みがある場合は、専門家やサポートグループに相談するのも良いでしょう。
高齢出産に伴う不安やプレッシャーは、ご自身で抱え込まず、家族や友人、医療スタッフと共有することで軽減できます。
プレママクラスやマタニティヨガなど、同じ立場の人たちと情報を交換する機会をもつことも、精神的なケアにつながります。
高齢出産後の注意点
高齢で出産された方は、出産後も注意が必要です。
若年層と比較して、体力の回復に時間がかかり、産後うつや体調不良が起こりやすい傾向にあります。
出産後の母体のケアは、生まれてきた子どもの世話と同じくらい重要です。
十分な休養と適度な運動、栄養バランスのとれた食事を心がけてください。
また、家族やパートナーに支援を求め、育児のストレスを溜め込まないことも大切です。
出産後のケアクラスへの参加やママ友との交流で、情報交換や相談を行うことも効果があります。
もしも、出産後のホルモンの変動によって、心の不調を感じた場合は、早めに専門家に相談しましょう。
代理出産について
代理出産とは、夫婦の代わりに、第三者の女性に妊娠・出産を依頼することです。
この方法は、子どもを望んでいるものの、ご自身の健康状態や高齢出産のリスクを懸念する場合や、なんらかの事情でご自身で妊娠・出産ができない場合の選択肢の一つとなります。
しかし、代理出産に関連する法律や倫理的な問題は、国や地域によって異なります。
日本においては、代理出産を禁止する法律はないものの、事実上実施できない状況です。
代理出産を希望する場合は、アメリカをはじめとする海外で行う必要があるため、入念に検討し、準備を進めましょう。
正しい知識をもって高齢出産を乗り越えよう
現代では、多くの女性が高齢出産を選択しています。
しかし、35歳以上での出産には、母体と胎児に対してさまざまなリスクが伴います。
正しい知識をもって、適切な準備をしてこれらのリスクを管理しなければなりません。
子どもを授かりたい場合は、代理出産や卵子提供なども検討しつつ、ご自身や家族のために最適な道を選びましょう。
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