卵子の寿命はどのくらい?年齢との関係性は?

公開:2024.005.07 更新:2024.005.07

子どもを授かりたいと希望しているものの、卵子の寿命や年齢との関係性を十分に知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。希望を叶えるには、妊娠において重要な役割を担う卵子について理解しておくことが大切です。

本記事では、卵子の寿命を年齢との関係性とともに詳しく見ていきます。不妊症の代表的な治療も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

妊娠の仕組み

妊娠は、男性が持つ精子と女性が持つ卵子が結びつくことによって起こります。

女性の体内で月経周期に合わせて卵子が成熟し、卵巣から放出されます。これが排卵です。放出された卵子は、精子と出会うために卵管へ進みます。

一方、性行為によって射精された精子は、女性の腟から子宮頸管(けいかん)、子宮を経て卵管へ向かいます。1回の射精で1億個以上の精子が放出されますが、卵管まで無事にたどりつけるのはごくわずかな精子だけで、その中から卵子と結びつくことができる精子はたった1つです。

卵子と精子が出会い無事に受精すると、受精卵ができ、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、卵管から子宮へと移動します。受精卵が厚くなった子宮内膜に潜り込んで、根をおろす現象を着床とよび、妊娠の成立を意味します。個人差はあるものの、着床後10日前後で、妊娠の兆候が現れ始めるのが一般的です。妊娠の兆候としては、おりものの量や色の変化のほか、少量の出血、吐き気、腹痛、眠気などがあるということです。

卵子の役割

卵子は女性の生殖細胞であり、妊娠においてとても重要な役割を担っています。卵子の質は、受精卵(胚)の発育、妊娠の成立の可能性などに大きく影響するためです。

女性の卵巣には、出生時点で約100万~200万個の卵子の元が存在し、この中から生涯で約400〜500個が成熟して排卵されると言われています。

卵子の成熟過程は月経周期と密接に関連し、周期的に卵胞内で成熟した卵子が卵巣から放出されます。卵子がタイミング良く精子と結びつくことで受精し、受精卵が着床すれば、妊娠が成立するというわけです。

しかし、女性の加齢とともに卵子の質は低下し、受精卵(胚)の質や妊娠の可能性に影響を与えます。そのため、卵子の質は妊娠において非常に重要なのです。

受精のプロセス

受精は、卵子と精子の細胞が融合し、新しい生命の基となる受精卵を形成する複雑な現象です。
この受精のプロセスは、まず性行為によって射精された精子が女性の膣を通過し、卵子が存在する卵管に到達するところから始まります。

受精するには、精子が卵子の外側にある透明帯を通過し、最終的に卵子の細胞質までたどり着かなければなりません。これを可能にするのが、精子頭部の先体から分泌される特殊な酵素です。

酵素によって透明帯を溶かして進むと、精子は卵子の細胞膜に到達し、そこに穴を開けて卵子の細胞質内へ進入します。この際、一度に卵子と受精できる精子はたった1つだけ。そして、卵子の内部で卵子と精子の核が融合すると、遺伝子情報が結合して受精卵が形成されるのです。

卵子の寿命とは

妊娠において重要な役割を担う卵子ですが、寿命があることをご存じでしょうか。
ここでは、排卵後の卵子の寿命についてお話しします。

排卵後の寿命

卵子の寿命は、排卵後24時間程度です。その中でも受精可能な時間は限られています。この限られた時間内に、卵子と精子が出会い受精しなければ、卵子は子宮内膜と一緒に体外に排出されてしまいます。

一方、女性の生殖器内における精子の生存期間は、最大72時間程度と言われています。そのため、妊娠の可能性を高めるには、排卵の時期を把握し、性行為のタイミングを適切に合わせることが大切です。

排卵の時期を把握するのに欠かせない基礎体温

日々、基礎体温を記録することで、月経周期と排卵日を予測できます。基礎体温の周期は、低温期と高温期に大きく分かれており、排卵は低温期から高温期に移るときに起こるとされているためです。

毎朝、目が覚めて起き上がる前に体温を測定し、基礎体温表に記録します。そうすることで、基礎体温の周期を視覚的に確認でき、排卵日を予測する手がかりになります。

女性が一生で排卵する卵子の数

女性が生涯に排卵する卵子の数は、約400〜500個とされています。

この数は、女性が経験する月経の回数と密接に関連しています。月経が始まる初経から閉経まで、女性の体は毎月1つの卵子を成熟させて、排卵するためです。例えば、女性の一生で月経のある期間を35年、月経周期を30日とすると、35×12=420個 が、一生で排卵するおおよその卵子の数だとわかります。

なお、すべての卵子が受精するわけではなく、未受精の卵子は自然と体外へ排出されます。

卵子と年齢の関係性

女性が年齢を重ねるとともに、卵子も老化します。卵子の老化は、妊娠にどのような影響を与えるのでしょうか。
ここからは、卵子と年齢の関係性をみていきます。

卵子の質が低下する

卵子の質は、年齢とともに低下します。卵子の質が低下すると、染色体異常の増加や、受精後の胚発育の悪化、流産のリスク増加など、妊娠に関連する多くの問題を引き起こすとされています。

健やかな妊娠と出産には、質の高い卵子が欠かせませんが、加齢による卵子の質の低下は避けられないのが現状です。これはあくまでも自然現象であり、女性が生涯に排卵する健康な卵子の数には限りがあるためです。閉経が近づく30代後半から40代にかけて、卵子の質が顕著に低下すると言われています。

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妊娠の確率が下がる

年齢を重ねるにつれて、妊娠の確率も自然に低下します。これは、卵子の数と質の両方が低下することによるものです。

35歳を過ぎると妊娠できる確率は低下し始め、40歳を過ぎるとさらに急激に低下するとされています。
これは自然妊娠の確率だけでなく、体外受精などの生殖補助技術を用いた場合の成功率にも当てはまります。したがって、子どもを授かりたい場合は、年齢による妊娠の確率の変化を知っておくことが重要です。

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閉経がおとずれる

年齢を重ね、卵子が老化していくと、最終的に閉経を迎えます。

女性が生涯に排卵する卵子の数は限られており、生まれたときには約100万~200万個の卵子の元を持っているとされていますが、年齢を重ねるごとに減少していきます。卵子は新しくつくられることはないため、増えることはありません。

女性が閉経を迎えるとき、卵子の数はゼロに近づき、卵巣の機能が止まるため、月経も停止し、自然妊娠の可能性はほぼなくなります。
閉経が起こる年齢には個人差があるものの、一般的に45歳から55歳のあいだとされています。

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卵子の質の低下を防ぐ方法

卵子の質は、加齢による影響を受けます。これは自然現象であるため防ぐことはできませんが、健康的な生活習慣と食事を心がけることで、卵子の質の低下を遅らせることができる可能性はあります。

生活習慣を改善する

日々の生活習慣は、卵子の質に大きな影響を与えます。次の4点を意識して、健康的な生活を送りましょう。

生活習慣を整えるために意識したいポイント
  • 適度な運動:適度な運動は血液の流れを良くして、卵巣の健康を維持することにつながります。ただし、激しい運動は逆効果となることもあるため、ストレッチやウォーキング、ヨガなどがおすすめです。

  • 良質な睡眠:十分な睡眠は身体の修復を促し、ホルモンバランスを整えます。できるだけ決まった時間に起床・就寝し、規則正しい生活を送りましょう。

  • ストレスの管理:ストレスはホルモンバランスを崩し、卵子の質を低下させてしまいます。ご自身に合ったリラックス法を見つけ、ストレスをこまめに解消しましょう。

  • 禁煙と適度な飲酒:喫煙は、卵子の老化を早める要因となります。また、過度な飲酒も卵子に悪影響を及ぼします。

一つひとつの積み重ねが、卵子の質の維持をサポートしてくれます。少しずつ生活習慣を改善しましょう。

栄養バランスを考慮する

卵子の質を保つには、栄養バランスの取れた食事も重要です。特に、以下の栄養素を意識して摂取しましょう。

卵子の質の低下対策に取り入れたい栄養素
  • 抗酸化物質:ビタミンCやビタミンE、ベータカロテンなどの抗酸化物質は、卵子を老化から守ってくれます。緑黄色野菜や果物、ナッツ類などに多く含まれています。

  • オメガ3脂肪酸:オメガ3脂肪酸は、卵子の健康を維持し、受精や着床の確率を高める効果があります。青魚や亜麻仁油、チアシードなどに豊富に含まれています。

  • 葉酸:葉酸は妊娠前からの摂取が推奨される栄養素で、胎児の健康だけでなく、卵子の質にも影響します。緑黄色野菜や豆類、レバーなどのほか、サプリメントを活用するのもおすすめです。

これらの栄養素を積極的に取り入れるだけでなく、1日3食きちんととり、栄養バランスを意識することも大切です。

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不妊症にお悩みの方に検討してほしい治療法

ここまでは、卵子の寿命や年齢との関係性、卵子の質の低下対策についてお話してきました。

子供を授かりたいと希望し、いざ妊活を始めたものの、一定期間を経ても妊娠しないことがあります。このような場合、不妊症の可能性があるため、原因に応じて適切な治療法を検討してみてください。

以下の表に、不妊症の代表的な治療法をまとめました。

不妊症の主な治療法
治療方法 説明 対象 特記事項
タイミング法 排卵日を予測して性交渉の最適なタイミングを見極める 自然妊娠が可能な方 ストレスや生活リズムに影響されやすい
排卵誘発法 内服薬や注射薬を用いて卵巣を刺激し、排卵を促進する 排卵が起こりにくい方 タイミング法や人工授精の成功率を高めるためにも使用する
人工授精 採取した精子のなかから良好な精子を直接子宮内に注入する 精子に問題がある男性不妊症の方、または性行為による妊娠が困難な方 精子注入後のプロセスは、自然妊娠と同じ
体外受精・顕微鏡受精 卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻す タイミング法や人工授精で妊娠しない方 自身の卵子を使うほかの治療法と比べると、費用が高額になる
卵子提供 第三者から提供を受けた卵子を使用して妊娠を試みる 自分の卵子を用いた妊娠が不可能、または困難な方 提供者の匿名性は保たれていることが多いが、日本で行うには厳しい条件がある

不妊症の治療を行う際には、専門医とよく相談して自分たちに合った方法を選択することが大切です。

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卵子を理解することが妊娠への第一歩

本記事では、卵子の寿命を年齢との関係性とともにご紹介してきました。

女性が年齢を重ねるとともに卵子も老化し、卵子の質や妊娠の確率が低下するとされています。健康的な生活習慣と食事を心がけ、卵子の質の低下を防ぎたいところです。
また、子どもを授かることを希望している場合には、できるだけ早いうちに、適切な準備を進めておくことをお勧めします。

代理出産・卵子提供エージェントのミラクル・エンジェルス へご相談ください。

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