代理出産のメリット・デメリットについて
公開:2024.0502 更新:2024.0502
代理出産という言葉を聞いたことはあっても、実際にどのようなメリット・デメリットがあるのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
日本でも少しずつ認知度が高まってきている代理出産ですが、検討するにあたっては、具体的な仕組みを押さえておかなければなりません。
この記事では、代理出産の概要やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
代理出産とは
代理出産は、何らかの理由により、ご自身で子どもを授かることができない女性が、第三者の女性に依頼して妊娠・出産してもらうことを指します。日本では、代理出産は認められていませんが、違法ではありません。
日本産科婦人科学会が、倫理的観点において代理出産に否定的であるために、国内で代理出産を行うことは困難です。そのため、合法化されている海外の国で代理出産を行う必要があります。
さらに、日本の法律では出産した女性が母親と認められるため、代理母(出産した女性)が法的・戸籍上の母親となります。法律に基づいて、代理出産にて授かった子どもとの母子関係を確立するには、特定の手続きが必要です。
代理出産の種類
代理出産には、「サロゲートマザー」と「ホストマザー」の2種類があります。
以下の表に、種類別の特徴をまとめました。
代理出産の種類別特徴 | サロゲートマザー | ホストマザー |
定義 | 代理母の子宮に依頼者の夫の精子を注入し、人工授精により妊娠・出産を行う。 | 依頼者夫婦の受精卵、また卵子提供者の卵子もしくは精子提供者の精子を用いて体外受精した受精卵を代理母の子宮に移植する。 |
血縁関係 | 生まれる子どもは夫と血縁があり、妻とは血縁がない。 | 生まれる子どもは夫婦双方、または卵子提供者と夫、精子提供者と妻との血縁関係がある。 |
法的・倫理的考慮 | 夫と血縁関係にある子どもを希望する場合、法的な規制や倫理的な問題を慎重に考慮する必要がある。 | 夫婦双方、もしくはどちらかの遺伝子を持つ子どもを希望する場合、法的な規制や倫理的な問題を考慮する必要がある。 |
代理出産のメリット
代理出産は、さまざまな理由で妊娠が望めない方々にとって、希望の光となり得ます。ここからは、代理出産を選択することで得られる3つのメリットを見ていきましょう。
メリット①ご自身で妊娠が望めなくとも子どもを授かることができる
代理出産を選択する最大のメリットは、何らかの理由で妊娠が難しい方でも、子どもを授かるという夢を実現できる可能性がある点です。
代理出産を通じて、遺伝子的に自分たちの子どもを授かることができるようになり、人生の大きな節目を迎えることができます。医療技術の進歩によって、従来では不可能だった夢が実現可能になったわけです。これまで、子どもをあきらめていた方にとって、大きな希望につながると言えるでしょう。
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メリット②高齢出産のリスクを回避できる
日本産科婦人科学会では、35歳以上の女性の初産を高齢出産と定めています。高齢出産には、流産や胎児の染色体異常といった、多くのリスクが伴います。また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症のリスクも高くなるため、母体にも大きな負担がかかります。
代理出産を行うことで、高齢出産に伴うリスクを回避し、心身ともに健康な状態で子どもを迎えることが可能です。
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メリット③成功率が高い
代理出産は、一般的な不妊治療と比較して、成功率が高いというメリットもあります。
代理出産では、健康状態が良好な代理母に、着床前検査を実施した良質な受精卵を移植することが可能となるので、妊娠に至る確率を大きく高めることができます。医療施設、良質な受精卵や代理母などの条件が揃えば、成功率は75~85%程度と言われています。
ただし、成功率は、さまざまな要因によって変動するため、あくまでも目安として考えましょう。
代理出産のデメリット
代理出産には、子どもを授かれるという大きなメリットがある一方で、それと同時にデメリットも存在します。ここでは、3つのデメリットをご紹介します。
デメリット①日本では代理出産を実施できない
冒頭でお伝えしたように、代理出産は、基本的に日本で実施することはできません。法律で禁止されているわけではなく、日本産科婦人科学会が倫理的理由から代理出産を認めていないためです。そのため、国内で代理出産を行うことはできないというわけです。
この背景には、代理出産が引き起こす社会的、倫理的、法律的、医学的問題が存在します。
代理出産の法整備については、厚生科学審議会生殖補助医療部会が平成15年に代理出産を禁じる報告書を提出しましたが、代理出産を明確に禁止する法律は制定されませんでした。そのため、代理出産を希望する方は、海外での実施を検討するしかないのです。しかし、海外での代理出産は、法律や文化の違い、言語障壁といった問題が生じます。
現行の日本の法制度では、海外で代理出産を行ったとしても、違法ではありません。そのうえでも、代理出産を検討する際は、これらの内容を十分に考慮した適切な準備と計画が求められます。
参照元:厚生科学審議会生殖補助医療部会『「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」について
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デメリット②高額な費用がかかる
代理出産を行うには、高額な費用を準備する必要がある、という点を必ず押さえておかなければなりません。第一に、出産する第三者の女性、つまり代理母への報酬が挙げられます。これには、妊娠・出産に伴う身体的な負担、そしてリスクを補償するという意味合いも含まれています。
ほかにも、医療費や法的手続きの費用、海外での生活費など、さまざまな費用が必要です。代理出産を行う国の物価や医療水準にもよりますが、数百万円から数千万円という高額になるのが一般的です。
さらに、代理出産のプロセスには不確定要素が多く、想定していた以上の費用が追加で発生する可能性もあります。代理出産を検討する際には、事前に情報収集を入念に行ったうえで、必要な費用を把握しておきましょう。
デメリット③さまざまな問題を抱えている
代理出産には、法的、倫理的や宗教的な観点からも問題があります。それぞれの問題を詳しく見ていきましょう。
法的な観点
代理出産を通じて子どもを授かったとしても、戸籍や親子関係といった法的な問題が発生します。日本の法律では、出生した子どもの母親は出産した女性とされています。つまり、実際に出産した代理母が法的・戸籍上の母親となるわけです。そのため、代理母を通じて生まれた子どもの法的な親子関係は少々複雑です。
代理出産を行ったのち、子どもを自分たちの戸籍に入れるには、特別養子縁組や胎児認知といった手続きが必要となります。これらの法的な手続きには時間と費用がかかるだけでなく、精神的な負担も大きくなることが想定されます。子どもを授かったあとの対応についても、あらかじめパートナーと話し合っておくことをおすすめします。
倫理的・宗教的な観点
代理出産は、倫理的な議論を呼ぶことも少なくありません。一部では、代理母の人権や子どもの権利、自然な出産の価値に対する懸念が指摘されています。また、宗教的な観点から代理出産を認めない文化も存在します。
なお、代理出産を巡る法制度や社会的な認識は、国や地域によって大きく異なります。代理出産を選択する際には、自身や関わる人たちの価値観や信条を尊重しつつ、これらの倫理的、宗教的な問題についても十分に考慮したうえでの決断が必要です。
代理出産が行える国
代理出産を考えている方々に向け、法的に可能とされている代表的な国を表形式でまとめました。代理出産は国によって異なる法律や文化がありますので、選択する際には各国の状況を必ず理解しておきましょう。
国 | 法的状況 | 医療水準や費用の傾向 |
アメリカ | 合法(現在3つの州を除く) | 医療水準が高く、法整備も整っており、成功率が高いが費用も高額 |
ロシア | 合法 | 比較的コストが低く、医療水準も良好 |
ジョージア | 合法 | 医療水準が良好で、欧米からの利用者も多い |
ウクライナ | 合法 | 医療水準が良好で、費用が比較的安い |
なかでもアメリカは、代理出産が広く受け入れられており、3つの州を除いたすべての州で合法的に行うことができます。高い医療水準や法整備が進んでいること、高い成功率などから、その認知度もほかの国よりも抜きん出ています。
その反面、費用が高額になることが多く、州によって異なる法律や規制が存在するため、代理出産を考える場合は詳細なリサーチが必要です。アメリカでの代理出産は、違法である州もあれば、合法でも規制が厳しい州もありますので、専門家との相談などを通じて、希望になった州を選択しましょう。
代理出産エージェントの選び方
前述してきたように、現在日本では倫理的な観点から、代理出産が基本的に認められていません。そのため、代理出産を希望される場合は、エージェントを通じて海外の代理母に依頼するのが一般的です。
高額な費用がかかる代理出産を成功させるには、信頼できるエージェント選びも重要です。ここでは、代理出産エージェントを選ぶ際に考慮すべき、3つのポイントを見ていきましょう。
サービス内容
エージェントを選ぶ際には、総合的なサービスを提供しているかを確認しましょう。これには、医療面でのサポートはもちろんのこと、法律的なアドバイスや心理的なカウンセリングなどが含まれます。
エージェントとひと口にいっても、そのサービス内容はエージェントごとに異なります。初めての代理出産を不安なく進めるには、サービス内容が充実しているエージェントを選びたいところです。
代理母の選定から契約締結、妊娠・出産のサポート、必要な法的手続きの支援まで、代理出産に関わる一連の流れをサポートしてくれる体制が整っているかを確認してください。
依頼費用
エージェント選びにおいて、依頼にかかる費用は重要な要素です。サービス内容と同様に、費用構造も各エージェントによって異なるため、明瞭で透明性の高い料金体系なのかどうかを確認することが必須です。なかには、ホームページに費用を明示していなかったり、安価な料金を記載したうえで、あとから高額な追加費用を請求したりするエージェントも存在します。
代理出産にかかる費用は、代理母への支払いやエージェントの手数料をはじめとして、想定しているよりも高額になる可能性があります。良質なエージェントを見つけるためにも、ホームページに、基本プランや料金の内訳など、詳細な料金設定が記載されているかどうかをまず確認しましょう。
そのうえで、予期しない追加費用が発生しないよう、懸念点がある場合は、契約前にすべての費用の詳細を聞き出したうえで、書面での見積もりを取得することをおすすめします。
サポート体制
海外での代理出産では、現地での医療の手配や代理母とのコミュニケーション、必要な法的手続きの支援など、エージェントによる細かいサポートが欠かせません。
たとえば、代理出産を行う国での現地のサポートが充実しているか、言語の壁を感じることがないように現地スタッフが常駐しているかなどが挙げられます。医療用語や法律用語を含む複雑な情報を、理解しやすいかたちで伝えることができるかどうかもポイントです。
エージェントは、代理出産プロセス中における依頼者の不安や困難を軽減する役割も担っています。慣れない代理出産を安全に行うためにも、良質なサポート体制が整っているエージェントを探しましょう。
安全に代理出産を行うには事前のリサーチが重要
ここまで、代理出産のメリット・デメリットについて詳しく見てきました。
代理出産は、子どもを授かりたい方々にとって、重要な選択肢の1つです。しかし、日本国内での法的・倫理的制約をはじめとして、高額な費用や心理的な負担など、考慮すべき内容は少なくありません。成功への道は簡単ではありませんが、適切な準備と情報収集を行い、信頼できる代理出産エージェントを選ぶことが、このプロセスをスムーズに進める近道です。
代理出産を通じて家族を築く旅は、挑戦と希望に満ちたものです。その旅を始める前に、すべての選択肢を慎重に検討し、自分自身と家族の未来に最適な答えを導き出しましょう。
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