不妊治療を受けると双子妊娠の確率が上がる?
公開:2024.1025 更新:2024.1025
双子や三つ子など、2人以上を一度に妊娠することを“多胎妊娠”といいます。
多胎妊娠の原因はさまざまですが「不妊治療によって、双子を授かる確率が上がる」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、多胎妊娠が起きる理由を説明したうえで、不妊治療を受けると双子を妊娠する確率が上がるのか? という疑問にお答えします。
不妊治療を検討されている方、あるいは現在取り組まれている方はぜひ参考にしてください。
双胎・多胎妊娠とは
胎・多胎妊娠とは、2人以上の子どもを同時に妊娠することを指します。
双胎妊娠は2人を、多胎妊娠は2人以上の子どもを妊娠している状態のことです。
これに対して、1人の子どもを妊娠している状態は“単胎妊娠”と呼ばれます。
多胎妊娠はなぜ起きるのか?
そもそも、多胎妊娠はなぜ起きるのでしょうか。
理由のひとつに、近年の出産年齢の高齢化や、不妊治療を行って妊娠、出産する人が増えていることが挙げられます。
また、同じ多胎でも、一卵性と二卵性という種類があり、一卵性と二卵性では妊娠時のメカニズムが異なるため、それぞれ説明していきます。
一卵性多胎妊娠
一卵性多胎の理由としては、ホルモンバランスの乱れや加齢による卵子の質の低下、低年齢での妊娠、激しい運動の際の衝撃などが考えられています。
もともと1つだった受精卵が複数に分裂することで双胎または多胎になることを“一卵性多胎”といい、分裂する時期により、二絨毛膜二羊膜と一絨毛膜二羊膜、一絨毛膜一羊膜のいずれかに変化します。これら3つの違いは、胎盤の共有の有無、および絨毛膜と羊膜の数などです。
もともと1つの受精卵が2つに分かれて発育した一卵性の多胎では、遺伝子情報がほぼ100%同じであるため、生まれた子どもたちは、容姿がよく似ているだけでなく、性別や血液型も同じです。
二卵性多胎になる理由
二卵性の多胎になる理由として挙げられるのは、排卵誘発法を受けた際の排卵数の増加です。
ただし、多胎になる確率は使用する排卵誘発剤の種類によって変わります。
2つの異なる受精卵がそれぞれ成長することで“二卵性の多胎”となり、胎盤が2つあるため二絨毛膜二羊膜に変化します。
なお二卵性の多胎は、2つの卵子にそれぞれ別の精子が同時に受精してできたものです。
そのため、遺伝子情報が違い、それぞれ別な個性を持っているので、生まれた子どもたちの容姿は一卵性ほど似ていません。性別や血液型も違う可能性があります。
不妊治療を受けると双胎・多胎妊娠する確率が上がるのは本当?
不妊治療によって、双胎・多胎妊娠する確率が上がるといわれています。
排卵誘発剤の使用や体外受精の刺激の影響で、受精卵が分裂して2つ以上になることや、1度に複数個の受精卵を移植することで2つ以上の胚が同時に着床する確率が上がっているためです。
体外受精では、卵巣から取り出した卵子を、体外で精子と受精させて子宮内に戻す“胚移植”を行います。その際に移植できる胚の数は、現在は、多胎妊娠を防ぐために、日本産科婦人科学会によって原則1つと定められています。
ただし、女性の年齢が35歳以上、または体外受精で2回以上妊娠に至らなかった場合は、2つの胚を移植することが同学会によって許容されています。
上記の理由から、これら2つのケースについては、体外受精においても双胎・多胎妊娠する確率が上がるというわけです。
双子を妊娠したかどうかわかる時期
双子の妊娠を診断できる時期は、一卵性と二卵性で異なります。
一卵性の場合、胎のうという胎児を包む袋が1つであるため、胎児の心拍がわかる妊娠6週目頃に、心拍が1人分か複数分かで診断することができます。
対して、二卵性の場合は胎のうが2つあり超音波検査の画像で診断できるため、妊娠5週目頃から確認することが可能です。
なお、妊娠検査薬では双子であるかどうかは判別できないので、医療機関で検査してもらう必要があります。
不妊治療によって双胎・多胎妊娠する確率は上がりうる
今回は、多胎妊娠が起きる理由を紹介したうえで、不妊治療を受けると双子を妊娠する確率が上がるのか? という疑問にお答えしました。
多胎妊娠が起きる理由は、一卵性か二卵性かによって異なりますが、不妊治療を受けて双胎・多胎妊娠する可能性が高まるのは、排卵誘発法によって排卵数が増加した場合や、体外受精において2つの胚を移植する場合などです。
いずれにしても、多胎妊娠や胎児へのリスクも高まるので、もしも多胎妊娠がわかったら、相応の準備をもって出産に備える必要があります。