妊娠できる確率は年齢とともにどう変化するの?
公開:2025.0401 更新:2025.0401
「子どもを持ちたい」と思っていても、その夢がなかなか叶わずに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊娠のできる確率を左右する要因はさまざまですが、年齢も大きく関係していることは紛れもない事実です。
そこで本記事では、年齢と妊娠できる確率との関係に焦点を当ててお伝えします。
妊娠を望む場合に押さえておきたいことも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
妊娠とは
受精卵が着床してから胎児が母体の外に出されるまでの状態を、「妊娠」といいます。
妊娠は、排卵・射精・受精・着床の4つのプロセスを経ることで成立します。
「排卵」により放出された卵子が、女性の体内にある卵管とよばれる器官で「射精」された精子と出会い、「受精」することで受精卵(胚)ができます。その後、受精卵は細胞分裂を繰り返して成長し、4~6日かけて子宮へと移動します。そして、子宮に辿り着いた受精卵が子宮内膜に潜り込むことを「着床」と呼び、着床が完了することで妊娠が成立します。
こうした過程を経るためには、避妊具なしで性交渉をする、あるいは人為的に妊娠を可能にする治療を受ける必要があります。
パートナーとの性交渉により妊娠した場合は自然妊娠、人の手による作業が加わって妊娠した場合は人工妊娠と呼ばれます。
ここでひと口に人工妊娠と言っても、その種類は1つではありません。
治療は大きく4つに分けられており、それぞれ妊娠に至る方法も異なります。
種類 | 方法 |
排卵する時期に合わせて、パートナーの精子を子宮内に直接注入する | |
排卵直前まで発育した卵子を取り出し(採卵)、体外で精子と受精させ、できた受精卵を培養して子宮に戻す | |
体外受精の一種で、顕微鏡で拡大視しながら、取り出した卵子に、選んだ良好な精子をガラス針で直接注入して受精させ、できた受精卵を培養して子宮に戻す | |
先天的な疾患や不妊、その他の原因で、自らの子宮で妊娠・出産できない場合に、第三者の女性(代理母)に妊娠・出産してもらう |
このような生殖補助医療の技術によって、妊娠に至るための選択肢が増え、自然妊娠が難しい場合でも子どもを持てるようになりました。
年齢を重ねると妊娠できる確率はどうなる?
年を取ると妊孕性(にんようせい)、つまり妊娠する力が低下し、子どもを持てる確率も低下するといわれています。
その原因としてまず考えられているのは、卵子の質の低下と数の減少です。
女性の卵子は有限で、胎生期に決められた数から増やすことはできません。
加齢とともに卵子も年を取って劣化していき、数も自然に減少していくため、高齢になるほど受精しにくくなり、妊娠確率も下がるわけです。
加えて、年齢を重ねるごとに子宮筋腫や卵管炎といった婦人科疾患に罹患する可能性が高まることも原因の一つです。
婦人科系疾患により器官の状態が悪くなると、受精卵の着床や成長を妨げてしまうため、妊娠の可能性がより低くなると考えられています。
妊娠後の早期流産のリスク
子どもを妊娠することができたとしても、必ず出産に至るとは限りません。
受精卵に染色体の異常があると、妊娠12週を迎える前に胎児が亡くなる“早期流産”が起こる可能性があります。
実際に日本産婦人科医会の報告では、早期流産した方の60~70%に受精卵の染色体異常が認められた、と公表しています。
こうした早期流産のリスクは、高齢妊娠であるほど高まります。
流産率を20代と40代で比較すると、その差は歴然です。
日本生殖医学会の報告では、1回の妊娠で流産する確率は、20代が約10%、40代が約50%となっています。
このほか、喫煙や飲酒、ストレスなどの外的要因によっても早期流産を引き起こすおそれがあります。
【参照元】
公益社団法人 日本産婦人科医会『No.99流産のすべて 1.総論』
一般社団法人 日本生殖医学会『23.女性の加齢は流産にどんな影響を与えるのですか?』
【年代別】妊娠を望むときに覚えておきたいこと
妊娠を望む時期は人によってそれぞれですが、早いうちから正しい認識を身につけておくことは大切です。
「将来、子どもを持ちたい」と考えている場合に覚えておきたいことには、どのようなものがあるのでしょうか。
本項では年代別に、ご紹介します。
20代の妊娠について
妊娠適齢期に該当する20代は、妊活を始める時期として最も適していると言えるでしょう。「子どもを授かりたい」と考えている場合は、以下のポイントを認識しておいてください。
- 女性の生殖能力は20代がピークであり、その後、年を取るにつれて確実に妊娠力も低下する
- 20代後半には妊娠の準備を始めたほうがよい
- 卵子の凍結保存も検討、場合によっては実行するとよい
正常な妊娠・出産には、卵子の発育や染色体の状態を指す、“卵子の質”が大きく関係しています。
20代は卵子の質が最も高い時期と言われており、年を取るごとに質は低下するため「若いからまだ大丈夫」と準備を怠っていると、子どもを作りたいと思ったときには妊娠が難しくなっている可能性があります。
また、望んですぐに妊娠できるとは限らず、その間にも卵子の質は徐々に低下していくことを心に留め、子どもを持ちたいのであれば、できるだけ20代のうちに準備を始めるのが理想です。
「将来子どもを持ちたいけれど、今はまだ難しい」という場合には、卵子の凍結保存を検討し、30歳になる前に採卵しておくと安心です。
妊孕性の高いときの卵子を採卵・凍結しておけば、将来、妊娠・出産できる確率も高くなるからです。
30代の妊娠について
続いて、30代の妊娠についてです。
- すでに妊娠力の衰えは始まっており、卵子の質も徐々に低下して、30代後半になると急速に下がる
- 計画、実行が遅れると妊娠できる可能性が低くなる
- 早い段階で卵子を凍結保存しておくとよい
女性は、30歳を過ぎると妊娠できる可能性が徐々に低くなると言われているため、子どもを持ちたいと思うなら、できる限り早く行動を起こすことが大切です。
30代後半になると、妊孕率の低下スピードが加速することを認識しておく必要があります。
「絶対に子どもを持たない」と決心していない限りは、パートナーと話し合ったり病院で検査を受けたりと、計画的に準備を進めることをおすすめします。
すぐに妊娠・出産に進めない場合には、1日も早く卵子を凍結保存しておくことが、将来の無事な妊娠・出産につながります。
40代の妊娠について
高齢妊娠に該当する40代では、30代までと比べて自然妊娠の確率は著しく低下し、妊娠・出産のリスクは上昇すると言われています。
ART(生殖補助医療)による治療でも同様に、妊娠率は加齢に伴って低下し、35歳では約40%、40歳では約30%に、45歳では約10%にまで下がります。それと同時に流産率は高まり、35歳では約20%なのが40歳では約30%、45歳では約60%と、10年で約3倍にまで上昇します(日本産科婦人科学会による)。
それほど、40代で妊娠して、正常な出産まで至るのは困難なのが現実です。
理由としては、加齢によって卵子の質が低下、生殖器官に何らかの問題が起こりやすくなっている、などが挙げられます。
また、妊娠は女性と男性の共同作業ですが、男性も、加齢によって生殖能力が低下すると考えられるため、35歳以上の男性と妊娠・出産を目指す場合、より一層困難になる可能性もあります。
- 早急に専門医に相談すること。妊娠の確率を高められる可能性がある
- 治療はできる限り早く始める必要がある
- 第三者の力を借りて子どもを授かる、という選択肢についても検討してみる
妊娠確率が下がり、流産率が上がることから、40代で「子どもを持ちたい」と考えているときには、まず専門医に相談して指示を仰ぐのが賢明です。
そして、治療が必要な場合には早期に取り組み、少しでも妊娠・出産できる可能性を高めましょう。
男性の年齢は妊娠確率に影響を与えるのか
妊娠の成立は、パートナーの男性の年齢によっても影響される可能性があります。
具体的には、男性が25~34歳頃を過ぎると、精子の数や運動率、質などが徐々に変化し、妊孕性が低下します。
こうした男性の年齢に伴う精子の変化も、妊娠できる確率が低くなる要因の一つなのです。
精子に変化が表れることはわかっているものの、精子の健康状態は個人差が大きく、明確に「何歳から」と区切りをつけるのは困難です。
そのため一概には言えませんが、目安としては35歳頃から生殖機能に低下がみられる場合が多い、と覚えておきましょう。
加齢とともに妊娠確率は低下する。子どもを望むなら、早めに準備を進めよう
今回は「妊娠できる確率は年齢とともにどう変化するか?」ということについてご説明しました。
妊娠確率は、加齢によって下がっていきます。
それは女性の卵子や、男性の精子の質が低下し、妊娠する力が衰えていくためです。
そのため「すぐに子どもを持ちたい」と思っていなくても、将来、妊娠・出産を考えているのであれば、早めに計画を立てておくことが大切です。
自然妊娠だけではなく、生殖補助医療による治療を試して、それでもうまくいかない場合には、配偶子提供なども選択肢のひとつとなります。
そのような不妊治療にご興味をお持ちの場合には、一度ミラクル・エンジェルスにご相談ください。
年齢を重ねても、子どもを持つ夢を実現できる方法を、お客様の状況に応じてご提案・サポートさせていただきます。