卵子の質とは? 様々な角度からご紹介
公開:2025.0310 更新:2025.0310
赤ちゃんを授かるための重要なカギと言われている「卵子の質」。
本記事では、この「卵子の質」に焦点を当てて、「質が良い」とはどのようなことか、また、卵子の良い状態を保つために日常生活で意識したいこと、などを紹介します。
新しい命を迎えるために、卵子に関する知識を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
卵子の質とは?
卵子の質とは、卵子の発育状態や染色体の状態のことです。
そして、この卵子の質が、妊娠率や流産率、先天性疾患のある赤ちゃんが生まれる確率に影響を与えます。
卵子が成熟しており、染色体の数や構造が正常であれば、その卵子は質が良い状態であると判断できます。
一方、卵子の質が悪いと、受精率が低下するほか、染色体不分離という染色体異常が増加するとされています。
質が良い卵子の特徴
質が良いとされる卵子には、以下のような力を持っているという特徴がみられます。
- 短時間で成長する力がある
- 受精する力がある
- 受精後、順調に細胞分裂する力がある
卵子のもとになる卵母細胞は、出生時から排卵をむかえるまでのあいだ、未熟な状態で成長を止めています。
しかし、40時間ほどで急速に卵子へと成長する力がなければ、順番がきても排卵することができません。
質が良い卵子は、短時間で成長する力があるため、排卵の段階に進むことができるのです。
そして、質が良い卵子が排卵され、質の良い精子に出会うと、受精に至ります。
卵子と精子が受精して受精卵(胚)になったあとは、子宮に着床するまで順調に細胞分裂を繰り返すことができなければなりません。その細胞分裂の過程を観察することで胚の質も判断されます。
受精後、細胞分裂し続けるには大きなパワーが必要となり、ここでも卵子の質が関係しています。
このように、卵子の質が良ければ排卵から着床まで順調に進みますが、卵子の質が悪いと途中で止まってしまい、妊娠に至らない可能性があるのです。
卵子の質を調べる方法
では、「卵子の質を確かめる方法」というのはあるのでしょうか。
現在、体内の卵子の質を確認する方法は、残念ながらありません。
卵子の質を調べることが可能なのは、顕微授精を用いる場合です。この治療法では、採卵後に卵子の質を顕微鏡で観察したうえで、治療に適した卵子を選んで顕微授精を行うからです。
質は調べられないものの、卵子の残数を調べる方法としてはAMH検査が挙げられます。
AMH(アンチミューラリアンホルモン)とは、卵巣内の発育過程の卵胞から分泌されるホルモンのことです。
血液中のAMHの値を測定することで、卵巣の中に残っている卵子の数を推測することができます。
なおAMH検査は、あくまでも卵子の残数を調べるものであり、妊娠のしやすさを示すわけではありません。
ただし、卵子の数が多ければ、質の良い卵子がある確率も上がると考えられるので、妊娠する可能性も高まると考えられます。
卵子の質が低下する原因
卵子の質は、年齢を重ねるとともに低下していきます。
詳細は分かっていませんが、原因のひとつとして考えられているのが、加齢による活性酸素の増加です。
人間の体内では、ミトコンドリアという細胞内小器官が細胞内のエネルギー調整を行っており、ミトコンドリアがエネルギーを作る際には、活性酸素を発生させます。
体内の活性酸素の量が過剰になると、細胞の老化だけでなく、卵子の質にも影響を与えるとされているのです。
また、老化と比例してミトコンドリアの働きが悪ると、エネルギーを十分作ることができなくなるため、卵子の働きも悪くなり、質の低下につながっているとも考えられています。
いずれにしても、体内の活性酸素は加齢に伴って増加する傾向にあり、活性酸素の量が増えて生み出されるエネルギー量を上回れば、細胞を傷つけて卵子の質を低下させる可能性があるというわけです。
活性酸素は老化だけでなく、生活習慣の乱れや過度なストレスなどによっても体内に蓄積するため、注意が必要です。
卵子の質を上げることは可能?
結論から言うと、卵子の質は加齢とともに低下するもので、一度低下した質を上げることは難しいとされています。
だからといって、何も打つ手がないわけではありません。
卵子の質を上げることは難しくても、卵子の質の低下を抑えられる可能性はあります。
具体的には、栄養バランスのとれた食事や適度な運動といった規則正しい生活が挙げられます。
規則正しい生活は、健康的な体づくりだけでなく、卵子の質の低下を防ぐ効果もあると考えられているため、まずはできることから始めてみてください。
卵子の質を保つには?
卵子をできる限り質が良い状態に保つには、どうすればよいのでしょうか。
日常生活では、以下の項目を意識しましょう。
- 抗酸化作用がある栄養素を積極的に取り入れる
- 十分な睡眠時間を確保する
- 適度な運動を行う
- ストレスを発散する
- 喫煙や過度な飲酒を避ける
ビタミンCやEといった栄養素には抗酸化作用があるため、卵子の質の低下を招く活性酸素の発生や増加を抑える効果が見込めます。
また、十分な睡眠はホルモンバランスを整えて、妊娠しやすい体づくりにつながります。
7~8時間程度の睡眠時間を確保し、毎日決まった時間に就寝・起床することが大切です。
栄養素や睡眠が足りていても、ストレスが溜まっていると、活性酸素が発生する原因になりかねません。
ストレッチやウォーキング、ヨガといった運動を適度に取り入れてリフレッシュすることをおすすめします。
ただし、規則正しい生活を心がけている場合でも、喫煙や過度な飲酒を行っていては元も子もありません。
喫煙や過度な飲酒はもちろん、生活習慣の乱れは卵子の質に悪影響を与えるので、避けるようにしましょう。