胚移植とは?一般的な流れや進め方を紹介

公開:2024.0816 更新:2024.0816

「胚移植」とは、採卵後に体外受精させて作った胚を数日間培養し、状態を確認したのちに子宮へと移植する不妊治療です。
「子どもを授かりたい」と考える方のなかには、実際に胚移植を検討されている方もいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、胚移植の進め方や一般的な流れ、その結果についての考察などについてご紹介します。ぜひ参考にしてください。

胚移植とは

「胚移植」とは、卵巣から卵子を採取し、体外で精子と受精させて受精卵を作成して培養した後に、子宮へと移植して妊娠を目指す生殖補助医療のことです。

このような不妊治療は、“体外受精・胚移植”とよばれています。

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胚移植の方法

胚移植には大きく分けて、2種類の方法があります。

胚移植の種類
  • 凍結融解胚移植
  • 新鮮胚移植

凍結融解胚移植は、分割期胚または胚盤胞まで培養した胚を-196℃の液体窒素で凍結して保存、卵子を採取した次の周期以降の着床しやすい時期に融解し、子宮内に移植する方法です。
また、新鮮胚移植は、卵子を採取して培養、成長した胚を同じ周期のうちに子宮内へと移植する方法です。

両者を比較したときに、凍結融解胚移植のほうが妊娠率(着床率)は高く、近年の日本では主流の方法となっています。
しかし、この方法は、胚の凍結、融解の過程で温度変化によって胚にストレスを与えるといわれており、ダメージを受けてた胚が使用できなくなる可能性もあります。そのため、それを避けられ、かつ妊娠までの時間が短くて済むる新鮮胚移植が選択される場合もあります。

これまでの治療歴やご希望に応じて医師と相談のうえ、ご自身にとって適切な方法を選択してください。

参照元:日本産科婦人科学会「2020年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」

一般的な胚移植の流れ

通常胚移植には、薬を使用しないで自然周期に合わせて行う自然周期法と、薬で時期やホルモンの状態を調整して周期をコントロールして行うホルモン補充周期法があります。

採卵か胚移植までの一般的な流れは以下の通りです。

胚移植の流れ
  1. 採卵
  2. 体外受精 
  3. 胚を培養して経過を観察
  4. 子宮内に胚移植
  5. 妊娠判定 胚が着床し、育っているか検査して判定。時期は移植した胚の培養期間によって違う

この流れはあくまでも一例であり、具体的な方法は胚移植の種類や、治療を受ける医療機関によっても異なります。
それによって、移植までの通院回数や費用も変わってくるため、スケジュールはあらかじめ確認しておきましょう。

胚移植の結果判定

胚移植を行ったとしても、必ず妊娠に至るとは限りません。
胚移植の成功に一番大きな影響を与えるのは、胚の質です。良好な状態の子宮に胚移植してもうまく着床しなかった場合の原因は、卵子または精子の質にあることがほとんどです。けれども、そうでない場合も考えられます。

胚移植における着床不全には、以下の原因が考えられます。

着床不全の原因
  • 受精卵の問題
  • 子宮内の環境または子宮の器質的異常
  • 受精卵を受け入れる免疫寛容の異常

良好な胚を4個以上かつ3回以上移植しても妊娠しない場合は、“反復着床不全”に該当します。
そのため、原因を探り、その原因に対する治療を行うことで、成功の確率を高められる可能性もあります。

参照元:日本産婦人科医会

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体外受精でも妊娠できない場合

胚移植を繰り返しても着床しない場合、原因を明らかにするための検査をおすすめします。そして、適切な治療を行うことで原因を取り除けたら、胚移植を成功に導ける可能性があります。
また、治療によって原因を取り除くことが困難な場合には、別な不妊治療を検討する余地があります。

例えば受精卵側に問題があると疑われる場合は、受精に用いる卵子の受精能力の有無と男性の生殖機能の検査や、胚移植の前にPGT-Aによる染色体の異常を調べることで、移植前に茉依の状態を確認することが可能です。
検査の結果、ご自身の卵子や精子に問題があることが判明したら、卵子提供や精子提供を検討することも選択肢のひとつとなります。                                                                                             

また、ご自身の子宮に問題がある可能性が生じた場合は、器質的異常なのか子宮内環境の異常なのかによって、子宮鏡検査をはじめとする必要な検査を受ける必要があります。
考えられる要因としては、粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープ、慢性子宮内膜炎などが挙げられますので、要因を特定し治療することが大切です。
もし、治療をしてもご自身の子宮での妊娠・出産が難しい場合には、他の不妊治療として、代理出産を検討することも選択肢のひとつです。

本記事では、胚移植の種類や一般的な流れを紹介しました。

近年は、体外受精・胚移植による生殖補助医療技術により、ご自身での妊娠・出産を叶えられる可能性が広がりました。
けれども、胚移植がうまくいかず、その原因を取り除くことが難しい場合には、その他の不妊治療によって子どもを授かることができる可能性があることも、参考にしていただければと思います。

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